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お子さんの治療に際して 子供は常に成長するものです。
赤ちゃん、幼児、幼稚園児、小学生、それぞれに対して適切な対応をしなければなりません。
2歳のお子さんに「どうする?治療してもらう?」と何回も聞いているお母さん、
お子さんに「00クンは何歳?」と聞いているのに「5歳です」とかわりに答えるお母さん。
「ちょっと違うなあ」と思ってしまいます。
お子さんへの対応法は年齢によって違うはずです。

1歳、2歳のお子さん  3歳以前のお子さんは、特に歯の治療ではなくても、お母さんの腕を離れて寝かされれば泣くほうが普通です。そして、20分の治療なら20分間、30分の治療なら30分間、ずっと泣き続けるのもこの年齢のお子さんです。あまり理由があって泣いているわけではないので、疲れてくるとそのうち眠ってしまうこともしばしばです。麻酔とラバーダムのおかげで治療は遠い世界での出来事のように感じられるので眠ってしまうのだと思います。「どうしたの?何にもしてないのに、痛くないのに、こんなに大声で泣かなくてもいいじゃないの」と焦っているお母さんもいらっしゃいますが泣いても心配は要りません。終わったとたんにけろりとして忘れてしまうのが1歳児、2歳児。
 この時期の「怖いもの」は大きな音や強い光です。
1歳さん、2歳さんには
「暴れると危ない」事が
理解できませんから
安全のために
抑えて治療します
肘や膝を手で押さえると
必要以上の力がかかって
お子さんが痛がりますので
写真のような抑制具でくるみます。
不要な説明はしませんが
優しく声かけをして
落ち着かせます。
3歳のお子さん  3歳の前半までは、診療中の反応は2歳のお子さんとあまり変わらない様に見えます。「ママ、ママ、だっこ!」と騒ぎます。でも3歳になるとお子さんは1,2歳児と明らかに違います。「理屈」がわかるのです。だから「何にもしないよ」「みるだけだから」とうそをついてはいけません。「00ちゃんの歯に悪い虫がついちゃった。このままだと歯が食べられちゃう。だから悪いむしバイキンをお水で洗ってやっつけちゃうよ」と説明します。3歳さんは泣いて「いやいや」といっていても心の中で「いやだけどやらないといけないことなんだ」と理解する能力があるのです。3歳の後半になればそれは更にはっきりしてきますから、がんばって泣かずに治療できるのです。でも……
☆ここで大事なこと: 「泣かずに治療する」ことにこだわらないでください。
開業する数年前の小児歯科学会での発表に私は愕然としました。泣かずにお利巧さんで治療を受けているお子さんと、思い切り大声で泣き叫んでいるお子さんの血中のストレス物質を測定したところ、我慢してお利巧さんで治療を受けているお子さんの方が大きいストレスを感じていることが分かったのです。
特に自我の芽生えの顕著なお子さんに「泣いちゃだめ」というのはとても可愛そうなのです。ましてや「泣くと痛いよ」「泣いたりすると終わんないよ」と脅かすのは言語道断です
4歳のお子さん  通常はこの年齢になると、例えば麻酔の痺れ感とか、多少の薬のにおい、大きな音などに対して容認できるようになります。でも、上に書いたように、「泣かないこと」を強制したり約束したりしないことにしています。「自分はもう大きいからいい子にしなければいけない」と思ってカチカチになっているお子さんに「泣いてもいいんだよ」といってあげることでずいぶん気が楽になるはず。最初に泣いてしまうとあとはさっぱりするらしく、途中まで、アシスタントのお姉さんが足を押さえたりすることが必要な場合もありますが、最後には大体落ち着いて治療を受け入れることが出来ます。
5歳のお子さん 5歳になると、「おとなしく協力したほうが、治療が早く済むぞ」というような計算が出来ますから、大抵のお子さんは協力的です。でも、人一倍、怖がりのお子さんも居ます。私の治療いすには必ず鏡がついていて、お子さんに、何のために、どんなことをどんな風にするか、説明し、(麻酔注射以外は)見せながら治療します。何をされているかわからないまま大きな音がしたり機械が近づいてきたりするのは怖いからです。
この時期の「怖いもの」は音や光ではなく、「想像の産物」です。
「注射」「歯を削る」「歯を抜く」といった「言葉」に悪い想像を掻き立てられるので、こういう言葉を私たちは使いません。注射の前には必ず表面麻酔をして針が刺さる感覚をなくしますから「虫を寝かせる薬を塗ろう」といいます。抜歯のことは「歯のお引越し」といいます。
小学生のお子さん  年齢にかかわらずいえることですが、お子さんにはそれぞれ個性があります。小学生になるといっそうそれがはっきりしてきます。「お母さんがそばに居なくても出来る」「お母さんが居るといやだ」「お母さんと手をつないで治療したい」。いろんなお子さんが居ていいと思います。甘えん坊さんには甘えん坊さんなりにやり方があるので、「赤ちゃんみたい」なんて言わずに、歯医者さんにいる時くらいは人目を気にせずママに甘えていてもらいます。
 ただ、お子さんはお母さんの鏡、だと思っていいと思います。お母さんが、私たち歯科医とスタッフを信頼してくださっていると、お子さんも私たちを信頼してくれます。私たちもお子さんを信じて治療できます。
 「ドクター、お母さん、お子さん」、という3角形の関係から、「ドクターと患者さん」という二人の関係にすることが出来ます。それがこの時期だと思っています。
思春期のお子さん もう子供ではなく、大人でもないこの時期のお子さん。治療に際しての対応法はつい大人に対するそれと同じになってしまいがち。でも、時々とんでもなく大人の常識とずれていることがあるので要注意。治療の内容をちゃんと説明しておかないと誤解して悩んでしまうこともあるようです。お口の中の状態を大げさに考えてしまったり、逆に歯を磨かないために起こる症状について全く無頓着だったり。
そして口臭についての相談をよく受けるのですが、この時期のお子さんの前で「この子の口、くさいんです」などと、絶対言わないでくださいね。大人の方もそうですが「くさい」と言う言葉は、とても人を傷つけるものです。
治療前に
私たちからのお願い
@治療前に歯磨きをしてきれいなお口で治療を受けてください。
A治療中はお子さんが汗をかくことがありますので、特に小さいお子さんには着替えのシャツ、パンツ等を御用意下さい。
B治療時間は約20分〜40分かかります。治療中にベッド(治療台)を一度降り、もう一度乗りなおすのはお子さんの精神的負担が増しますので、治療前に排尿排便は済ませておいて下さい。
C3歳以下のお子さんや恐怖心が強いお子さんは暴れることがあります。それに伴う危険を回避するため、動きを抑制するための器具を使うことがあります。保護者の方の承諾を得て行いますので、説明をお聞き下さい。
D痛くない治療のため、当院では必要な場合は麻酔を行って治療をします。治療が終わっても、1時間くらいは麻酔が取れず、唇や頬がしびれています。しびれ感でくちびるやほっぺたを咬んだり強く吸ったりしないように、十分に注意してあげてください。
E当院ではお子さんの治療回数を減らすため、1回の来院で出来る治療は可能な限り行っています。そのため、保険適用の治療でも負担金の額が大きくなることがあります。回数が増えても一回の金額が少ない方がよいかたは、その旨お申し出下さい。
F診療室内では携帯電話の電源をお切り下さい。
G診療室内でのお子さんの対応はスタッフにお任せ下さい。年令に応じた接し方をいたします。
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