製薬会社の対応
ちょっと前のことですが、ある会社が新しくイオン飲料を発売しました。
友人の歯科医は、「これを飲んでいると体調が良いので患者さんにもすすめるつもり」といいます。
それで、私は製造販売している会社に「このドリンクのPHはどのくらいでしょうか?」と
問い合わせのメールを出しました。
電光石火で返信が届き、PHは3.9と教えてくれました。
それで私は小児歯科医の立場から、PHが低い(つまり酸性度が高い)と、虫歯を作りやすいので、
PHをラベルに明記して欲しいと頼みました。
貴社のドリンクはとてもよいものということなのですから、
飲み方を誤って「虫歯の原因」と言われないために
飲み方の注意を添付出来ないでしょうか?という風に書いてメールを送りました。

・・・今度は待てど暮らせど返信は来ませんでした。
無視することはないんじゃないの?!と思ってちょっと悲しかったです。

「断乳」はいけないこと
だというんです。
1歳半児検診では「断乳をするように」と言わないことになりました。
小児科の先生はその理由を歯科の雑誌に
「お母さん方が、検診のときに『断乳しなさい』と厳しく言われると、
叱られるのがイヤで検診に来なくなるから」と書いていました。
それは断乳していないことを「叱る」様な態度がいけないのでしょう?
お母さん方を傷つけないような説明をするように、私も心がけています。
「子供の歯の話」の 「哺乳瓶とスポーツドリンクのむし歯」にも書きましたが、
やはり1歳を過ぎてもおっぱいや哺乳瓶で寝かしつけるのはやめてほしい。
むし歯だけの問題でなく。
最近出版された本では、男の先生が、
「私はお母さんの気を楽にしてあげるために、
『夜泣きをするときはおっぱいをあげてもいいですよ』
とアドバイスしています」と書いてありましたが、
おっぱいで寝かしつけることこそ夜泣きを招いていると思う。
だって母乳をやめたお母さんは必ず「夜起きることがなくなりました」とおっしゃいますもの。
だから私はお母さんの身体を守るために、
おっぱいで寝かしつけるのを止めた方がいい、と言うんです。
あの、3時間おきの授乳の辛さ、オトコにはわかるまい。
   
ラバーダム
平成21年 4月からの保険点数改訂でラバーダムの点数が無くなりました。(え~?時代逆行でしょ)
ラバーダムをかけて治療する先生が少ないからでしょうか?
それともラバーダムの点数請求数が多いからでしょうか?
そう、保険点数って、頻度が高い治療の点数は減らされるんです。
そしてめったに無いような治療の点数を上げて、
トータルで「歯科保険点数はアップ」と報道されるんです。
それにしても、ラバーダムの点数が無くなったら(今までも\100しかなかったのですが)、
若い先生はいくら大学で「ラバーダムをかけて根の治療をしなさい」と習ったところで、
「やっぱりラバーダムなんか必要ないんじゃないか」と考えちゃうんじゃないでしょうか?
 ラバーダム・もう一つのプンプン!
 うちのスタッフだった女性が、新しい勤め先の歯科検診で虫歯が見つかり、
 検診した先生に「うちの歯科に来なさいよ」と言われたので
 「ラバーダムかけていただけるなら」
 (だってラバーがあった方が患者さんも歯医者さんも楽なのを彼女は経験上知っているのです)
 そしたら彼の態度が急変。
 「ラバーダム?!かけてやってもいいけど、そんなこと要求するなら私費治療だからね!」
 ラバーダムは保険治療で認められています。点数が無いだけ。
   
ケータイ
診療室の入口に「携帯電話の電源はお切りください」と書いた紙を貼ってあります。
殆どの方は電源を切るか、せいぜいマナーモードにして持って入ってくださいますが、
ときどき治療中にケータイの呼び出し音が高らかに鳴り響くことがあります。
成人の患者さんは音でぴくっとされるのが危なくて困りますが、
皆さん「すみません」とあわてて電源を切ってくださいます。
口をあけて寝ていては電話どころではありませんものね。
ところが、お子さんの治療をユニットサイドで、「○○ちゃん、頑張って!」と励ましながら
お子さんと一緒に泣きそうになっているお母さん、
なぜか携帯電話がなった途端にお子さんの手を振り払って、
メールを見たり、電話に出たり………!?
そういう方のお子さんは、ママが携帯電話を持っている間は
泣くのをピタッとやめて静かにお母さんを見守る気配。
なんとも不思議な光景が展開されます。
子供よりケータイが大事、なわけありませんよねえ?
   
 症例編  
 
検診についてのプンプン
去年の秋、Mちゃんは1歳半児検診を受けました。
前歯が茶色くなっていました(写真上)。
保健センターでは「これは虫歯ではなく形成不全です」といわれました。
お母さんは信じられず、歯医者さんに行きましたが
そこでも「形成不全」といわれました。
でもこれは虫歯です。
「形成不全症」というのは
遺伝性の非常にまれな病気ですし、
お母さんのおなかの中で
歯がうまく作られなかったために起こる
「エナメル減形成」なら左右対称になるし、
下の写真(治療しようとしているところ)のように
裏側だけ茶色くなって穴があくことはありません。
裏側に虫歯があるのは
やはりまだ母乳を続けているためだと思います。
ジュースを飲むと不機嫌になるのは
甘いものが歯に滲みるからですよ。
  正直にネ
B君は自閉傾向があり、歯医者さんが嫌い。
でも私のことは気に入ってくれたのか、比較的スムーズに口をあいてくれました。
学校からの検診のお知らせには「歯列、咬合、顎関節の異常」にだけマルがついていました。
確かに前歯がすきっぱですが、それよりも奥歯に数本のむし歯がありました。
B君、他の歯医者さんでは口を開けないそうなので、
検診のとき、歯医者さんはお口の中を見ることが出来なかったのではないかと思います。
「口を開けないので歯科検診は出来ませんでした。」と、書くことは出来ないのでしょうか?
  ケース3
3か月前に一才半児検診を受けたCちゃん。
「奥歯になりかけの虫歯があります。」と言われて来院しました。
お口を見てびっくり!上の前歯が全部、ひどい虫歯になっています。
お母さんにそういったら「え?だって検診でも何も言われなかったし。」
神経治療も必要でした。

何のための検診なの?
  ケース4
やはり1歳半児検診で
「むし歯がたくさんありますが、小さいので治療は出来ません。よく歯を磨くように」
といわれてその後丸2年も放っておいたため、歯がボロボロになって来院したB ちゃん。
「治療してくれる歯医者さんを探してみたら?」くらい勧めてほしかったなあ。
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